今回は、「Fan management」の「Target plus decrease MCC」設定方法について解説します。
簡単に言ってしまうと、ファン回転数と最大コアクロックを制限してGPU温度を下げるモードです。
ハッシュレートを犠牲にする代わりに、ファンやチップなどの不可を軽減して寿命を伸ばす効果が見込まれます。
「Fan management」全体の解説はこちらをご覧ください。
「Target plus decrease MCC」とは?
「Target plus decrease MCC」設定が登場する前から存在していた「Target GPU&VRAM/HotSpot T.」設定は便利で信頼性の高い機能ではあります。しかし、VRAM / ホットスポット温度が高くなりすぎた場合に100%で動作させるため、ファンの消耗を早め寿命を縮めることに繋がってしまいます。
そこで登場したのが新しいファンモード「Target plus decrease MCC」です。
NiceHash QuickMinerではGPU / VRAM温度が上がると、ファン回転数を高速にして温度上昇を抑えようとします。ファン回転数が100%に到達しても温度が目標温度まで下がらない場合に、「Target GPU&VRAM/HotSpot T.」ではファン回転数以外の調整がされないため、温度が高いままになってしまうおそれがあります。
しかし、「Target plus decrease MCC」では最大コアクロックを下げることで、更なる温度低下を図ることができます。また、ファン寿命を伸ばすために「Max fan speed」も設定することでファンの最大速度を下げることも可能です。
設定できるGPUは、Volta世代、Turing世代、Ampere世代のGPUです。Pascal世代では設定できないのでご注意ください。
Fan mode | 調整項目 | 温度が高いときの挙動 | 強く消耗する部位 | 対象 |
---|---|---|---|---|
Target GPU&VRAM/HotSpot T. | ファン回転数 | ファン回転数を上げる | ファン GPUチップ | Ampere Turing Volta Pascal |
Target plus decrease MCC | ファン回転数 コアクロック | ファン回転数を上げる コアクロックを下げる | なし ※要最適化 | Ampere Turing Volta |
「Target plus decrease MCC」が夏場におすすめな理由
夏場のマイニングは、使用しているリグの消費電力にもよりますが、熱が外気で冷えにくくなり、リグ周辺の温度やリグを設置している部屋の温度がかなり高温になります。冷房やサーキュレーターをフル稼働させてもなかなか温度は下がりません。機材寿命を考えれば温度が低い方がいいですし、自室や自宅でリグを動かしている場合は快適な生活のために室温を下げた方がいいでしょう。
「Target plus decrease MCC」ならば、ファンスピードの調整に加えて最大コアクロックの調整もできるので、温度を更に下げる効果が期待できます。
「Target plus decrease MCC」設定方法
それでは「Target plus decrease MCC」を設定してみましょう。
以下の設定はGTX 1060、1070、1070 Ti、1080、1080 Tiでは行うことができません。
RigManagerで「Manual」に設定する
まず、RigManagerで「Manual」を選択します。
このように「OPTIMIZE」と表示されたらOKです。この時点でOC設定が初期化されます。
OCTuneで設定する
次にOCTuneを開いて設定していきます。
まず、「General options」の「Single selected device:」で設定するGPUを選択します。
次に、「Alternative method for overclocking」の「Core clock limit」で最大コアクロックを、「Memory clock (absolute)」でメモリクロックを設定します。
最後に、「Fan management」の「Fan mode:」で「Target plus decrease MCC」を選択し、「Target GPU Temp. (℃):」で目標GPU温度を、「Target VRAM/HotSpot Temp. (℃):」で目標VRAM温度を、「Max fan speed (%):」でファン最大回転数を設定します。
「Max fan speed (%):」はGPUファンの回転数を最大回転数の何%に制限するか設定できます。たとえば「50」に設定すると最大回転数の50%が回転数の上限になります。
なお、「-1」に設定するとGPUのデフォルト最大回転数が上限になります。GPUのデフォルト値は大抵の場合100%ですので、最大回転数でファンを回すことになります。
ここまで終えたら「Single」をクリックしましょう。「Target plus decrease MCC」が有効化され、指定した値の範囲内で最もハッシュレートが高くなる値が自動的に設定されます。
たとえば上の写真の例では、「Temperature」が「Target GPU: 95 ℃ Target VRAM: 95 ℃」の条件に収まるように「Fan level」や「Core Limit」の値が自動調整されました。
設定を保存する
うまく設定できましたか?
今行った設定は、excavatorを再起動すると消えてしまってデフォルト設定が復活してしまいます。そこで、次回以降も同じ設定を使うために、設定の保存をしておきましょう。
「General options」の「Save current configuration」をクリックすると設定が保存されます。
このように表示されたら保存完了です。
設定値の調整が行われる順序
GPU / VRAMが温度上昇すると、次のような順序で設定値の調整が行われます。
- ファン回転数を上限まで上げる
- 目標温度まで下がらなかったら、さらに最大コアクロックを15ずつ下げる
- 目標温度まで下がったら、OC設定値まで最大コアクロックを上げる
- まだ目標温度を下回っていたら、ファン回転数を下げる
OCTune設定方法のまとめ
OCTune設定方法は別の記事で紹介してきました。
こちらもあわせてご覧ください。
第1回では、OCTuneの基本を紹介しています。
第2回では、OCTuneでのオーバークロック設定を半自動で行う「オルタナティブオーバークロック (Alternative Ooverclocking) 」設定を紹介しています。
第3回では、OCTuneでのオーバークロック設定をほぼ自動で行う「自動オーバークロック (Autotune) 」設定を紹介しています。
第4回では、リモートアクセスを設定することで、1台のPCから他のリグのOCTuneを行えるようにする方法を紹介しています。
第5回では、「ETHlargementPill」なしでハッシュレートを向上させる新機能と、その使い方を紹介しています。
第6回では、「新ファンモード」の使い方を紹介しています。
【本ページ】第7回では、「新ファンモード」の使い方を紹介しています。