前の記事で NiceHash QuickMiner でのオーバークロック設定は「ワンクリック最適化がおすすめ」と紹介しました。
では、なぜ「結局ワンクリック最適化」がおすすめなのか。その理由を見ていく記事の第2回です。第1回の記事はこちら。
オルタナティブオーバークロック (Alternative Ooverclocking) 設定
まず「OCTune」の設定画面に入ってみましょう。
オルタナティブオーバークロックは「OCTune」のここで設定を行います。
書かれている通り、GTX 1060 / 1070 / 1080 では利用できません。
また、Quadro と Tesla は、オルタナティブオーバークロックでのみオーバークロック設定をすることができます。
オルタナティブオーバークロックで調整する値は次の2つだけです。
- Core clock limit(コアクロックの制限値)
- Memory clock(メモリクロック)
電力制限は、これらの値から自動的に設定されます。
メモリクロックの調整
まず最初に、安定動作するメモリクロックの最大値を調べます。第1回で紹介した方法でメモリクロックの上限を調べ、安定動作する(「HW err」や rejected share が出ない)クロックに設定します。
このメモリクロックの最大値については、NiceHash が公開している参考データがあります。
GPU | メモリクロック | デフォルトクロックからの増分 |
---|---|---|
3090 | 10350 | +850 |
3080 | 10300 | +850 |
3070 | 7900 | +1100 |
3060 Ti | 7900 | +1100 |
メモリクロックを設定したらコアクロックの調整をします。コアクロックの制限値を更に高い値(例:1800 MHz)に設定し直してから、ハッシュレート(MH/s)や効率(kH/J)の値が高くなるように調整していきます。
Rejected share が表示される場合はメモリクロックを下げる必要がありますが、1日に1~2件程度の頻度であれば気にしなくても大丈夫です。
コアクロックの調整(高ハッシュレート)
高ハッシュレートを目指すオーバークロックでは、最初にコアクロックを高い値に設定してから、「Min KT」「Avg KT」が低い値になるように徐々にクロック数を下げていきます。これより低い値にはならない、というコアクロックを見つけたら「Save current configuration」をクリックして現在の設定を保存しましょう。保存した設定は、次回の Excavator 起動時に自動的に読み込まれます。
コアクロックの調整(高効率)
高効率を目指すオーバークロックでは、高ハッシュレートを目指すときとは逆に、低いコアクロックの制限値(設定できる最小値は 210 です)から始めて、+15 ずつコアクロックを上げながら「Min KT」と「Avg KT」の値を下げていきます。コアクロックを上げていくとメモリの安定性が下がり、「HW err」の値が上がったり「rejected share」が出てくることがあります。そのときにはメモリクロックを下げると安定性が上がることがあります。
これより低い値にはならない、というコアクロックを見つけたら「Save current configuration」をクリックして現在の設定を保存しましょう。保存した設定は、次回の Excavator 起動時に自動的に読み込まれます。
このコアクロックの値については、NiceHash が公開している参考データがあります。
GPUモデル (RTX) | メモリクロック (MHz) | コアクロック制限値 (MHz) | 消費電力 (W) | ハッシュレート (MH/s) | 効率 (MH/Ws) |
---|---|---|---|---|---|
3090 | 10401 | 1080 | 286 | 117 | 0.409 |
3070 | 7950 | 1050 | 117 | 60 | 0.513 |
3060 Ti | 7950 | 1350 | 120 | 60 | 0.500 |
第2回のまとめ
このように、オルタナティブオーバークロックでは電力制限が自動化されるとはいえ、やはり手のかかる設定作業が求められます。
そこで次は、「OCTune」に用意されている「Autotune」という自動オーバークロック方法を紹介します。
OCTune 設定方法のまとめ
OCTune 設定方法は別の記事で紹介してきました。
こちらもあわせてご覧ください。
第1回では、OCTune の基本を紹介しています。
【本ページ】第2回では、OCTune でのオーバークロック設定を半自動で行う「オルタナティブオーバークロック (Alternative Ooverclocking) 」設定を紹介しています。
第3回では、OCTune でのオーバークロック設定をほぼ自動で行う「自動オーバークロック (Autotune) 」設定を紹介しています。
第4回では、リモートアクセスを設定することで、1台の PC から他のリグの OCTune を行えるようにする方法を紹介しています。
第5回では、「ETHlargementPill」なしでハッシュレートを向上させる新機能と、その使い方を紹介しています。
第6回では、「Fan management」の使い方を紹介しています。
第7回では、「新ファンモード」の使い方を紹介しています。