【続報】使用中止問題への PhoenixMiner 開発者コメント【その1】

NiceHash が唐突に PhoenixMiner の使用中止を求める声明を出したことで降って湧いたように発生した PhoenixMiner 使用中止問題。この問題について、オンライン上から姿を消していた PhoenixMiner の開発者が、状況を解説するコメントを bitcointalk に発表しています。

前の記事では、マイニングソフトの PhoenixMiner についての開発者コメントを要約しました。


この記事から、PhoenixMiner の開発者が出したコメントの全体を紹介します。そのため、以下の文章において「私たち」などの一人称は、PhoenixMiner の開発者自身を指します。

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第1節:はじめに

MEGA(ファイルアップローダー)が私たちの、そして他の多くのマイニングソフト開発者のアカウントを停止した一連の騒動と、それに起因する NiceHash の「過剰反応」について、見解を述べます。

ここでは、過去数ヶ月の間に NiceHash の代表者と私たちの間で交わされた関連するプライベートメッセージを掲載します。これが正しいことなのかどうか、チーム内でも議論がありましたが、考えた末に、誰かが PhoenixMiner の評判を落とそうとしているときに黙って見過ごすわけにはいかないと判断しました。下記のメッセージの唯一の変更点は、個人を特定できる名前などの情報を削除したことです。

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第2節:2020年の NiceHash とのやりとりについて

ことの発端は、昨年11月に NiceHash の担当者が PhoenixMiner にデジタル署名をするように連絡してきたことでした。

2020年11月27日(金)午前11時20分/NiceHash 代表者からの連絡

PhoenixMiner が配布しているバイナリファイル(*.exe や *.dll)にデジタル署名をお願いしたいです。可能であれば、世界的に認められている認証局から証明書を取得してください。もし拒否する場合は、その理由と懸念事項をお知らせください。
デジタル署名を行うことで、アンチウイルスソフトによる誤検出を減らし、ユーザーからの信頼性を高めることができますし、もちろん、NiceHash からの信頼性も高まります。
なお、NiceHash Miner ではデジタル署名されたマイニングソフトを優先的に採用します。

署名を行うことは私達の身元を明かすことになるため、拒否する旨を理由を添えて NiceHash に回答しました。

2020年11月29日(日)午前9時19分/PhoenixMiner 開発者より回答

残念ながら、以下の理由のためデジタル署名はできません。

■私たちは可能な限り匿名性を維持したいと考えていること
これは主要な認証局から証明書を取得することと相反するものです。匿名性は暗号通貨の理念において不可欠な部分であり、ビジネスを行うために他者を知ったり、明確に信頼したりする必要がないという、暗号通貨の利点でもあります。
しかし、暗号通貨の理念を尊重すること以上に匿名性を重視している理由は、Claymore の開発者やマイニングプールである Dwarfpool のオーナーなど、著名人が原因不明の失踪を遂げた、いくつかの有名な「事故」が気がかりだからです。

■私たちはユーザーの暗号通貨を保持していないこと
取引所、プール、または NiceHash のようなサービスとは違って、私たちはユーザーの暗号通貨を保持しておらず、外部からアクセス可能なサーバーを持っていません。そのため、私たちがハッキングされたり、ユーザーの暗号通貨を盗んだりする危険性はありません。もし PhoenixMiner が何か悪さをすれば、すぐに検出されますし、大した経済的利益を得ることもなく、私たちは評判を失うでしょう。

■アンチウイルスソフトへの対応は無駄が多いこと
PhoenixMiner の最初のリリース以来、様々なアンチウイルスソフトが、完全にクリーンな実行ファイルの中に多くの脅威を「発見」しました。はじめのうちは除外アンチウイルスソフトメーカーに対して依頼をしていましたが、しばらくすると、新しいバージョンのリリースのたびに行うこの作業を、あまりにも非生産的であるために行わなくなりました。そのため、PhoenixMiner では、他のマイニングソフトのように実行ファイルを完全に暗号化することはしていません。IP 保護と、リバースエンジニアリング検出のために、改竄防止コードを使用しているだけです。
つまり私たちが取りうる選択肢は、アンチウイルスソフトメーカーに屈してソフトウェアのリバースエンジニアリングを容易にできるようにし、他のマイニングソフトへの競争上の優位性を失うか、アンチウイルスソフトメーカーを無視してマイナーにソフトウェアの信頼性をチェックするための必要な手段(チェックサムなど)を提供するか、という二択になります。

私たちの「信頼の連鎖(chain of trust)」は bitcointalk.com から始まります。馬鹿げていると思われるかもしれませんが、ここで長年にわたって信頼性と公平性を示すよう努めてきましたし、外部からの圧力に屈したこともありません。多くの証明書認証局も同じ方法で信頼性を培ってきました。

少し前に Claymore の開発者が忽然と姿を消したとき、私たちは本当に驚きました。(「次は私たちかもしれない」とすら考えました)
Claymore の最後のバージョンにデジタル署名された Windows ドライバが含まれていたことを考えると、認証局に対して Claymore の開発者が身元を明かしたことは明らかです。「マイニングソフト開発者が身元を明らかにした途端に姿を消したこと」はただの偶然かもしれませんが、私たちはリスクを無視したり、自分たちの命や家族の安全を危険に晒したくはありません。私たちは PhoenixMiner の開発を続けることにしましたが、その一方で身元を明らかにしないための厳しい対策も取ることにしました。


こちらの記事に続きます。

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